退職金制度の見直し
◆退職金にかかる税金は所得税と住民税です。退職金の考え方は、勤務期間中の労働に対する対価の一部を一括払いする、という点と、老後の生活資金としての側面があります。こうした点を考慮し累進性を緩和する観点から、特別な負担軽減措置が講じられてきました。しかし、最近の雇用情勢の変化と支給実態の変化などで退職金の税制を見直す動きがでています。つまり、控除の縮小化で実質手取額の減額も可能性として考えられます。
◆さて、退職金を一時金でもらう可能性が高いのは勤続年数が短い人たちです。この場合の税金を計算してみましょう。例1)在職1年2ヶ月退職金30万円:所得控除は40万円×2年(1年を1日でも過ぎたら2年として計算)=80万円。80万円-80万円(勤続20年以下の場合の最低控除額)=0=退職所得となり、税金はかかりません。例2)在職半年で退職金50万円:半年は1年とみなします、所得控除は80万円(下限)なので、この場合も税金はかかりません。ただし会社によって退職規定がマチマチなので、一度会社の退職規定には目を通す必要があります。多くの企業の退職金規定では3年以上在職が退職金を受給できる権利とされています。
◆団塊の世代の大量退職でショックを受けるのは労働人口の減少だけではありません。退職に伴う退職金の手当てなどはその際たるものです。実際に何年も前からこの大量退職に備えてさまざまな準備を企業はしてきました。また、退職に伴い退職者の可処分所得が確実に減少するわけですから、自分の残された人生のデザインを今からでも遅くはないので計画しましょう。団塊世代の退職金を当てにした金融業界を筆頭とする様々なキャンペーンが展開されていますが、ここはじっくりと退職金や税金などの知識を駆使して悔いの無い人生を送りたいものです。
◆国の財政事情が悪化しているのは誰でも知っています。これまで退職金にかかる税金は他の税金と比べてかなり優遇されてきました。しかし、これも先行き不透明になりました。税制調査会の「個人所得課税に関する論点整理」では明確に将来、現状の優遇措置を実情に合わせて変えていくべき、との記述がされています。特に勤続20年を超える場合の控除額の急増、所得税の1/2課税、という点が問題として指摘されています。要は将来、退職金からももっと税金をとろうとする計画のようです。
一番多い転職理由
◆転職理由は人それぞれに異なると思いますが、毎年圧倒的に多い理由が「給与に対する不満足」や「上司との人間関係がうまくいかない」あるいは「仕事のやりがいがない」などです。給与面に関する問題は生活に直結することなので、転職希望の理由に挙げる人が多いのは当然のことかもしれませんが、上司との人間関係に悩み、過大なストレスを抱えて転職を真剣に考えている人たちが多いことも、最近の傾向ではないでしょうか。
◆転職する際に気をつけたいことは、前向きな転職理由と不平不満ばかりに根ざした転職理由とでは成功する確率に大きな差が出るということです。前向きな転職理由を持っている人は、転職先の研究や転職のための能力アップなど、準備を十分に行って転職する場合が多く、転職に失敗するリスクはおのずと低くなりますが、不平不満に基づく転職の場合、衝動的に転職しがちであるため、どうしても失敗が多くなるわけです。
◆転職には、前職よりも給与が低くなる、あるいは労働環境が悪くなるというリスクが絶えずつきまといます。転職希望者は現在の環境から逃れたいために、転職先の良い面だけを見がちです。無意識のうちに悪い面にふたをしてしまうのかもしれません。転職を考えたときはいったん頭の中を白紙に戻し、気分をリセットして時間をかけて転職理由を考えなおし、転職することによるメリット、転職したために被るであろうディメリットを比較検討することが重要です。そこまでして納得できれば転職しても問題はないでしょう。
◆転職は自分自身だけではなく、家族の生活にも大きく影響を与えます。安易で軽はずみな転職は不幸以外の何ものでもありません。たとえ一時的に物事がうまくいったとしても、将来破綻する危険性が内在します。自分の人生を満足できるものにしたいのであれば、転職して確実に成功する道を選択することが賢明です。そのためにも、しっかりとした目標を持ち、充分時間をかけて準備をしたいものです。そうすればおのずと前向きな転職理由に変わるはずですから。
税の計算方法
◆退職金は退職後の大事な生活資金になるものですから、退職前に税金がいくらかかるかを調べておくのは重要なことです。特に昨今の公的負担の増加を考えるとなおさらです。退職金は大きく分けて一般社員が受取る退職金、役員退職金、死亡退職の場合の退職金と分けられます。それぞれ退職金の性格が違い、そのためかかる税金も違ってきます。
◆この退職金を一時金で受取る場合の税の計算方法は以下の4つのステップで計算します。ただし会社に「退職所得の受給に関する申告書」を提出した場合に限ります。1.退職所得=(退職金-退職所得控除)×1/2 ※退職所得控除の計算方法 勤続20年以下=40万円×勤続年数(退職金が最低80万円までは無税) /勤続20年以超=70万円×(勤続年数-20年)+800万円/2.所得税額=退職所得×所得税率 3.住民税=退職所得×住民税率×0.94.退職手取額=退職金-所得税額-住民税/このように退職金にかかわる税額が決まりますが、実際は会社が税金に関しては天引きして支払ってくれるので自分で手続の必要はありません。
◆不幸にも従業員や役員が在職中に死亡した場合、死亡退職金を支払いますが、その場合の税務はどうなっているのでしょう?まず、そうした不幸な事例は予想外のことなので生命保険契約でカバーできます。保険料は損金扱いできます。次に遺族が死亡退職金を受取る場合の税務処理は、みなし相続財産として相続税の課税対象となります。また、相続人が受け取る死亡退職金は、相続税法上、法定相続人1人について500万円まで非課税とされます。弔慰金として受け取った場合は、その額が下記の範囲内であれば非課税財産とされ、これを上回った部分が退職金に該当するものとして取り扱われます(相続税法基本通達3-20)。★業務上の死亡の場合 死亡時の普通給与(賞与を除く)の3年分★業務外の死亡の場合 死亡時の普通給与(賞与を除く)の6ヵ月分
◆退職金を分割払いするのが年金です。厚生年金や国民年金などの公的年金と区別するために民間の年金は企業年金と呼ばれています。今までは企業が金融機関に委託したり独自に年金資金を運用してきましたが、運用実績が思わしくなく赤字を企業が補填してきました。しかし、それも限界に達し国に代行返上を願い出る企業が続出しています。こうしたことを背景に退職金制度、特に企業年金制度はさまざまな形に変化をしています。年金制度の変更は将来、年金という形で支払われる退職金の税金も変わってこざるをえません。したがって、今から老後の生活設計をきちんと立てておく必要があります。
